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クルマとミニカーのにわか道楽日記

タイトルとかけ離れた事ばかり好き勝手に書いてます。

ある車の物語。

ご訪問ありがとうございます。

今日は小説っぽいかも。
長いので、お時間ある方のみどうぞ。


私の休み明けに一台の軽が入庫していた。
いつもはオイル交換で定期的に入庫する車。
大きなトラブルは一度もなく、きちんとメンテされていた。

その車は社用車であったのだが、
聞くと、会社から処分して欲しい、
と依頼されたのだという。

そのドライバーさんは少し神経質な方だったが、
店に来る時は、いつも文庫本を持参し、
静かに待ち時間を過ごしていた。

10万キロを超えたから別の車に乗り換えたのだろう。
社用車だから、会社が指示するのは当然だ。

まめに手入れしてもらった車は、
過走行にも関わらず、調子は良かった。
処分するには忍びないので、
代車として余生を送ってもらうことにした。
その会社から許可を得て、早速掃除を始めると、
普段開けなさそうな場所からある物を見つけた。

それは、小銭入れと免許証だった。
高額では無いが紙幣も入っており、
免許証ならご本人も困っているだろう。
すぐに会社に電話をすると、
しばらくしたら取りに行くので預かって欲しい、
そんな返答が来た。

急いでいないという返答で全てを理解できた。

そうか。
この車はご主人を亡くしていたのか。

私は車に戻り、エンジンをかけた。
いつも工場に運ぶ時はクラシックが流れていた車内。
今時当たり前のナビは無く、オーディオのみ。
もう車内にクラシックが聞こえる事は無いだろう。

でも、私ぐらいはその事を覚えていておこう。
ご主人に大切に使われた車は、これからも別の人を乗せ、
誰かの愛車の代わりとなって活躍するのだから。

バンパーに付いた擦り傷は、タッチペンで誤魔化した。
今はなきご主人の足跡を、完全に消さないために。
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